本日はいびき・睡眠時無呼吸症候群についてです。
いびきは皆さんご存知かと思いますが「睡眠時無呼吸症候群」はご存知ですか?
その名の通り寝ている間に呼吸をしていない状態の事を言います。
今日はこの2点について説明いたします。
【いびき】
口を開いた状態において、咽頭の軟組織で部分的断続的な気道閉鎖が起こり
気流が滞った状態で空気が通った時の振動音。
これが重度になると完全な閉塞=無呼吸となります。
いびきは空気の振動音といいましたが、なぜ大きな音がするのでしょうか?
のどが狭くなると、空気(とくに酸素)がうまく取り込めないため、睡眠中でも苦しく感じます。
つまり、呼吸がうまくできないのと同じ状態です。
そうなると無意識に、必死で空気を取り入れようとします。
それがのどの振動をうながし、大きな音=いびきとなるのです。
そのためいびきには、「睡眠時呼吸障害」という病名がつけられています。
いびきをかく人は、睡眠時の血液中の酸素量が低下しています。
人によって、またいびきの程度によっても違いますが、健康な人と比べて30%も低下する人もいます。
こうした呼吸障害が、日常生活に支障をきたしたり、生活習慣病の原因やリスクとなっていることがわかり、注目されています。
【睡眠時無呼吸症候群】
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中、呼吸が10秒以上止まる疾患。
1時間あたり5回以上の無呼吸、もしくは呼吸が弱くなる低呼吸が発生している場合は、睡眠時無呼吸症候群と診断される。
日中でも眠気を感じ、集中力が低下し事故の原因になる場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群は原因によって閉塞性と中枢性の2種類に分けられますが、そのほとんどを閉塞性が占めています。
閉塞性⇨閉塞性の主な原因は、気道(のどの空気の通り道)が狭くなることです。
肥満・扁桃が大きい・顎が小さい
これに加えて、睡眠中は筋肉の緊張がほぐれ、さらに気道を確保しづらくなることも一因です。
また、ホルモンバランスに変化が起こる閉経後の女性にも起こりやすいといわれています。
中枢性⇨中枢性の原因は、呼吸を司る脳の指令がうまく働かなくなることです。
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害や心臓疾患でみられ、とくに心不全との関連が強いといわれています。
◉合併症
SASの患者さんの多くは高血圧・糖尿病・心臓病・脳卒中などの生活習慣病を合併しています。
放置すると生命に影響を及ぼす可能性があります。
◉検査方法
まず無呼吸の指摘をされたり、SASの疑いがある場合は専門の医療機関に受診します。
問診時に睡眠、自覚症状について質問させていただき、その後検査方法を決定していきます。
SASが疑われる場合夜間の状態を診る検査を行います。
無呼吸は寝ている間に起こる呼吸の異常です。
夜間睡眠時の患者さんの状態を知ることが大切です。
◉治療法
⇨CPAP
睡眠時無呼吸症候群の中で最も有効性が高くかつ確実な方法がCPAP療法です。
睡眠時に鼻にマスクを装着して、鼻マスクから空気が一定量送り込まれ睡眠中に緩んだ喉の筋力によって喉が
塞がってしまうのを防ぎます。
送り込まれるのは酸素ではなく空気です。
⇨マウスピース
主にいびき症の方や軽症の無呼吸症の方に有効な治療がマウスピース療法です。
無呼吸症の方に適応されるマウスピースは、一般の歯ぎしり防止用やスポーツ選手が使用されているものと異なり
下顎を前方に数mm突き出してかみ合わすようにするものです。
副作用として顎の痛みや違和感がありますが、数ヶ月の使用で徐々に慣れていくケースが大半です。
⇨外科手術
小児の多くや成人の一部で、SASの原因がアデノイドや扁桃肥大などの場合は、摘出手術が有効な場合があります。
UPPPという軟口蓋(のどちんこ)の一部を切除する手術法もありますが、治療効果が不十分であったり
数年後に手術をした部位が瘢痕化してSASが再発することが少なくありません。
また、米国では狭い上気道を広げる目的で上顎や下顎を広げる手術も行われていますが、日本でこの手術を行える医療施設は限られています。
当院では月に一度専門医が治療に来ています。
睡眠歯科リサーチセンター東京
歯科医師・歯学博士 葭澤 秀一郎
いびき・無呼吸を指摘されたことのある人は気になりましたら一度相談にいらっしゃってください。